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あのですね、この焼酎と初めて出会ったのは2018年5月。
ある焼酎イベントの時でした。
黒木本店さんがそのイベントに持ち込んでいたのが「謳歌」という名の芋焼酎。
「ん?知らんぞ」
聞くと、2018年からデビューした新商品との事。
オススメはソーダ割ということだったんで、それを飲んでみると・・
めちゃくちゃ旨いがな!何これ?どうなってんの?
シャレになってないでしょ!旨すぎるやろ!
とにかく感動しました。
その感動が忘れることが出来ず、飲みに行った時にこの「謳歌」があれば、必ず「謳歌をソーダ割りで」と頼んで飲んでました。
本当に美味しくて、飲んでる時の私の顔は絶対にニヤニヤしてて、誰にも見られたくない恥ずかしい顔をしていたはず(笑)
この焼酎、「玉茜」という甘藷が原料なんです。
オレンジ芋と呼ばれるジャンルになるんですけど、このオレンジ系の芋を使った芋焼酎は香りが非常に特徴的。
綺麗でちょっとフルーティーな香りを楽しめる焼酎に仕上がります。
そしてこの「謳歌」を造る黒木本店さんは、とにかく全てにおいてクオリティーが高い。
自社で栽培した芋を原料にし、その芋の特性をいかに焼酎に落とし込めるかを考え続けてます。
妥協なく、いいものを普通に世に送り出す。
スタートラインそのものがハイクラス。
それが黒木本店なんです。
この「謳歌」、香りが素晴らしい。
めっちゃ華やかという訳じゃなく、全体のバランスとしてうっとりしてしまう香りが飲み手のハートを見事に射貫いてしまうのであります。
私、「謳歌」の事褒めまくってますよね(笑)
そう、ホンマに、マジで皆さんに飲んで欲しいのです。
体験して欲しいのです。
この「謳歌」でソーダ割りを楽しんで欲しいのです。
私と同じ感動をして欲しいのです!
焼酎のソーダ割りといっても、どんな焼酎でもソーダ割りにして旨いかというとそうじゃないんです。
「謳歌」はまさしく炭酸と「ベストマッチ」。
ホントいいです。
マジでいいです。
是非体験を!!
※5月中旬以降入荷予定
予約受付→ https://kadoya-sake.ocnk.net/product-list/118
Twitterを見ていたら、こんな画像が。
ヨドバシカメラの酒売り場の画像らしいです。
賞味期限が・・って書いてるけど、基本的に賞味期限って酒には無いし(「蔵元推奨で○ヶ月以内に飲んで欲しい」とかはあるけど、基本的に賞味期限は無い)、きっと日付が古くなったからディスカウントしてるんやと思うけど(この画像の商品は3割引)、更にこの酒を買ったらヨドバシのポイントを10%還元と。
ぶっちゃけ、ん~って感じです。
ただ、一般的な市場原理からすると、スーパーで売ってる食品とかもこういうパターンよく見かけるし、じゃあそれを否定している人がいてるかというと、そんなにいないような気もする。こういうのをを狙ってる人達もいるから(スーパーの店員さんが割引シールを貼ってるまわりにウヨウヨ集まっている人達から私はちょっと距離を置きたいタイプ)それはそれでアリなんでしょうけど、なんか気持ちがもやっとしてしまいます。
この画像の写真のような現象を酒売り場で見つけた場合、この酒の良さを知ってる人は「やったー!いつもより安く買えたー!」嬉しくなってる可能性も大やろうし、「やったー!更にポイントもらえるなんて!」ってダブルでガッツポーズして「いい買い物できたなー」って感じているような気もします。
じゃあその感情がアカンかというと、そうでもなくて、ヨドバシカメラからすると日付が古くなった酒は出来れば早く売りたいという気持ちがあるからこういうスタイルをとってる訳だし、それに対して「やったー!」って思って買ってくれる人がいたら、それはそれでお互いが「○」なのであるから、それで良しとしなければいけないのかもと。
それでももやっとしているワタクシ。
って考えると、もしかしたらずっとこの酒業界にいてて、日付が古くなったからディスカウントするという発想を全く持っていないワタクシの考えがおかしいのか?というと、そうでもないと胸を張って言い切りたいです。
ま、同じ酒を販売していても、ヨドバシカメラやイオンなどとスタイルが違うし、向かってる方向性も全く違うから、例えばそこに扱っているお酒が同じものがあったとしても「ウチのほうが確実にレベル高い酒やからな!」とドヤ顔で言えるスタイルを貫き通したいと思っております。
昔と比べて酒の流通というのが大きく変化しました。
私の親父の世代では、酒の仕入れはほとんどが卸問屋さんから。
日本酒の酒蔵さんから直接仕入れるということは無かった。
そこに新潟清酒「久保田」が特約店方式というスタイルで、自分の酒がどんなどころでどんなふうに管理されてどんな人が売ってるのかが分かり、更にどんな造り手がどんなどころでどんなふうにどんな思いで造っているのかが分かる、いわゆる「お互いの見える化」の中でしっかり手を繋いでやっていこうという事が確立されたんです。
それがいわゆる地方の小さな蔵が生き残っていく【ひとつの形】だったんです。
地方の小さな蔵が、全国にある小さな町の酒屋とタッグを組んで、場合によっては酒屋と酒蔵が家族のような付き合いをしたり、酒屋が酒蔵に行って酒の仕込みを一緒にやったり、いわゆる【同じ釜の飯を食う】感じ。造り手さんと繋がると、「この味わいはこのような努力から出来上がったんだ」というのが分かるから、単に【味】だけで評価できない部分もあって、もっというと酒造りなんて毎年異なる環境の中で育ったお米を使い、毎年異なる環境の中で酒を仕込んでる訳ですから、同じ酒が出てくる事そのものがありえなくて、再現性を求める蔵であってもやっぱりそこは100%同じものなんてできなくて、「今年はこんな環境でめちゃ厳しかったけど、この環境下で出来る限りの事をし尽くした結果、今年はこの味わいなんだ」っていうこともある訳ですから、私達酒屋は、そういうところも含めて【酒を売る】という事をやっていきたいのであります。
だから写真のように、単にモノを仕入れて日付が古くなったからディスカウントするというスタイルに、勝手に「ん~」となってしまっているのであります。
この酒の造り手さんがこの写真を見たらどんな気持ちになるんやろうって思うと、ちょっと切ない。
でも、ヨドバシカメラさんの気持ちも分からないでもない。
じゃあどうしたらいいのかというとどうしようもなくて、唯一あるとすれば【流通】と【蔵の規模】いうものがカギになると思う。
特約店方式というスタイルを確立し、地方の酒蔵が生きていく道を作ってくれた「久保田」が今では全国何軒あるか分からないイオンを特約店にし、今までは町の特約酒屋でしか買えなかった「久保田」が、全国規模の「イオン」でも購入出来るようになった。
同じく新潟酒を牽引してきた「越乃寒梅」もイオンを特約店にした。
「イオンを特約店」という言葉が合ってるのかどうか分からないけど(基本的にフリー販売になったと自分は解釈)、今まで懸命に1本1本お客さんにアツくこの酒への思いを語ってきた酒が、埃がかぶってしまった状態でイオンに並んでいるのを見ると、「もう勘弁してくれ」と思う反面、蔵元さんも生産量や会社の規模を考えた場合、今までずっと支えてくれた酒屋の気持ちも分かるけど、我々も企業であるだけに「背に腹はかえられない」という思いもあったのだろうし、互いの本音については私は全く分からないので、私という第三者が勝手に呟いているとスルーしてもらって大歓迎でございます。
蔵もある程度の規模になると、抱えるスタッフの人数も増えて、そのスタッフの家族も一緒に支えていくということになると、企業としてはある程度【数字】を求めていかないといけなくなる。それを昔から支えてくれている酒屋さんにもある程度の【数字】を求める事にもなってたんだろうけど、そこはやはり個人商店が大半を占めている酒屋にも限界があって、それ以上求めるとなると、どうしても集客力のある場所であったり、今まで踏み入れる事をしてこなかった市場にも出て行かなくてはいけなくなるのは仕方がない話。
ということで、だんだん話は逸れてしまいつつこの話をし出すと私は全く止まらなくなるのでここで終了。
もう何年も前から自分に言い聞かせているのは、今は「酒の銘柄で差別化は出来なくなった時代」であるということ。
同じ銘柄が他の酒屋さんにあっても、「どうせならあの酒屋から買いたい」って思ってもらえるような、いろんな意味で魅力を感じてもらえる酒屋にならないといけないというか、今のところそれ以外に方法は無いと思ってます。
かどや酒店が貴方にとって「自分に合わない」と思えばそれは正解だと思う。
「俺はかどや酒店より○○酒店のほうが合うな」と思えばそちらに行くのは必然だろうし、飲食店さんから見た酒屋もそうで、もし1本や2本から配達してくれる酒屋があって、その酒屋にウチと同じ銘柄があれば、確実にウチじゃない酒屋から買うだろうし、送料がウチより安くて同じ酒が買えるならそっちにいくだろうし、自分の家から近いところにウチと同じ酒が買える酒屋があるならきっとその近所の酒屋で買うだろうし、そういう【便利さ】で比較され、外される段階で、その人にとって【かどや酒店はアウト】な訳で、じゃあ私がその【アウト】と判定してくれた人を当店が、ウチのほうにふりむいてもらいたいから「じゃあウチも1本から配達しますよ」とか「じゃあウチも送料安くしまうよ」とかそういうのはこれっぽっちもしようと思わないし、そうなんです。【便利さ】を求められると負けるので、そうじゃないところ、つまり【違う土俵】でウチは生きていこうとそう決めているのであります。
私の新潟の師匠はいつも言ってます。
「去る者追わず」
もしかしたら師匠の言う「去る者追わず」と私が考えている「去る者追わず」の意味は違うかもしれませんが、「去る者は追わず」それでいいと思ってます。無理矢理ウチに振り向いてもらおうとすると、自分が自分じゃないことをしないといけなくなる。それって全然オモロない。今でさえウチの酒屋の事を大いに嫌いだという人も大勢いるだろうし、そういう人達に「いや、違うんですよ」って反論する労力を使うなら、「あの酒屋オモロいな」って賛同してくれるというか、今の段階で振り向いてくれている人達にもっともっとオモロいって思ってもらえる努力をするほうがウチには合ってるような気がしてます。
合う人と繋がれたらいいと思うし、合わない人と無理矢理自分じゃない自分を演じてその人をつなぎ止めようとは思わない。
でも結果、そんなワガママを貫き通してしまって酒屋でメシが食えなくなったらアウトですけどね(笑)
ということで長文失礼いたしました。
久々やな、長文(笑)